ゆとゆとは今日も元気ですと言いたい。の前身の「ボーダーの上」時代の発掘エントリ。
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1989/04
- メディア: 文庫
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読んだよ。人間失格。自分が人間失格だと思っていたけど、上には上がいるもんだ。それで安心することは無いけどさ。
太宰治の波瀾万丈な人生を書いた有名な私小説。面白くないわけが無いと思ったけど、意外に面白みは無かったな。
結局この物語は最初が全て。最初に自分は道化だと言う。もうそれでいいですよ。人類皆道化。道化しない人間なんていません。いかに道化な人生だったかを滔々と語っていくんだけど、その痛さ加減にあてられそう。
山崎マキコを、男にして、もっと痛くして、古くした感じか。フツーは逆に考えるけど、自分はこう考える。古いせいで泣きはしなかった。共感は出来ないもん。
だけど、信頼していた人が裏切った衝撃とか、信頼している人間を裏切っている自分を自己嫌悪するとか、文学的主題の扱い方は天下一品なのかもしれないです。結局この二つでしょ。
今思えば、話が漱石の三四郎に少し似てた気もする。というか、東京で会う登場人物に、そっくりなのがいた。どちらも軽薄な感じの行動が早い、主人公を振り回す遊び人の男。昔の本にはこういう人は多いのやもしれないですね。