Q&A

Q&A (幻冬舎文庫)

Q&A (幻冬舎文庫)

みんな、本当の私はこんなんじゃない、私はこんなんじゃないって思ってるわ。そして、誰もが皆、素敵な人を待っているの。本当の私を見つけ出してくれる、本当の素晴らしい私を引き出してくれる、本当の私を理解してくれる素敵な誰かを。

最後の方に出てくる二人の会話の中で、こんな会話が出てきます。確かにね、白馬の王子様願望あるよね、女も男も。


大好き、恩田陸のQ&A。本人も言うように劇場型、というか演劇的な作品が多い恩田陸だけど、これはまさにその典型。郊外型ショッピングモールでのパニック的な死傷事故を中心に話が進む。その中で、色んな人達が出てくるんだけど、基本的に二人の人間がその事件に関して、インタビューされる側と、する側になって、その二人の会話を一章として進んで行く形。


こういう作品の場合は、段々、事件の核心に近づくけど、ご多分にもれず、これもまたそう。だけど、結局真相はウヤムヤ。


ショッピングモールの内部に居た人間が、事件を語るのを追って行くうちに、現実感が出て来て、怖くなってくる。あまりにも日常的な場所で起きた、非現実的なはずのパニック。そしてその原因が救われない。


そこへ、被害者や遺族を食い物にしようとする、詐欺師や宗教団体出て来て、傷口に塩を塗る。これもまた新聞に載ってるような、現実に起きてる話。


日常に潜む悪、悪意、危険、そういったものが徐々に出てきて、苦しくなる。


夜行バスで読んでたせいもあってか微妙に気分が悪くなった小説。


うーん、上手く書けない...。好きな作家の本て感想書きづらいな。