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池田亮司展の感想

アート

レポートの転載なのですPart2。正弦波。

分解される音

今回の展覧会に共通するテーマは、より少ない基本的な要素への分解ということだと感じた。まず細かく数字がエッチングされた作品は、たまたま彫刻の作品のようになっているが、数字だけを表すという至極単純なことをしている。素粒子の発見で分かったこの宇宙がミクロに見て離散的な世界であるということを、数字の羅列で主張しているかのようだ。そのために様々な材質のものに刻み込まれたのだろう。

この展覧会の主要な作品である、巨大なスクリーンに表現される映像とサイン波を基本とした作品は、音として最も基本的な単位であるサイン波、構成要素として最小であるものを使っている。つまりともすれば表現力として最低なものになるはずのものを使って最大限の表現力を出していると言えるのではないか?映像もサイン波の魅力を引き出すように、しかしミニマルに構成され空間的に音楽を助ける空間的要素になっていた。

見えない音場に左右される巨大なスピーカーが 5台置かれた地下の作品。視覚では不可能な聴覚的体験。原理を分かっていても不思議な感じがした。自分の耳がおかしいのか、音場が変化しているのかが分からなくなり、感覚というものは頭で処理するものだと言うことを実感してしまった。

全体として、とても刺激的な体験であった。表現手法としてとても単純なもののサイン波や数字が、それらのみで複雑で豊かな体験を生み出されていて、盲点を突かれた気分であった。