Bumpで考える無線データ交換の未来

BumpというiPhoneアプリがある。Bluetoothを使って連絡先を交換するアプリなのだけど、ふたりで一緒にiPhoneを振るとペアリングされて交換される仕組みを持っている。この仕組みのおかげで有名なアプリだ。iPhone同士の連絡先交換のデファクトスタンダードの座についている。
Bumpのすごいところは電波を使ったデータのやり取りの流れを振るという*1動作によって表したところだ。つまりこのインタラクションがあるから明示的にデータがやり取りされていると感じられる。そのことで見えないデータのやり取りに戸惑うことがない。いままでの電波を使った交換の欠点はデータのやり取りがインタラクションと結びついていなかったことにあり、そこにBumpという動作を取り入れる事でユーザは迷わずにデータ交換が出来るようになった。
この革命はすごい。無線では今まで赤外線が携帯におけるデータ交換のデファクトスタンダードだったのを奪う流れだ。赤外線によるデータのやり取りが一般的になり一時期は、もしかしたら今も、携帯を選ぶ基準の絶対外せない条件に赤外線ポートの搭載になっていたと思う。Bluetoothが多くの携帯に搭載されていたにも関わらず、だ。赤外線はポート同士を向き合わせるという動作がデータのやり取りを明確にするが故にBluetoothを凌駕していたのだろう。
たぶんBumpはOSの機能になる。データ転送の標準プロトコルとして。その次は携帯電話同士だけではなく、携帯 - PC、そしてPC - PCもBumpではないかもしれないが、Bumpと良く似たコンセプトのプロトコルが開発されるはず。というのも現在のPC - PCのやり取りは、ほとんどあらゆるPCが無線LANBluetoothという無線通信のシステムを持ちながらUSBメモリが一般的だからだ。どう考えても必要ない過剰なUSBメモリを駆逐するのはそういうプロトコルになる。そういうプロトコルというのは、要はデータのやり取りに適切なメタファー、アナロジーを持ったインタラクションのことだ。
この分野に関して、小型プロジェクターを使ってデータ転送をするというビデオがあったので後で紹介しておきます。

*1:Bumpする