選択肢の少なさについて

選択肢は少ない方がいい。テレビのチャンネル、ポータルサイトiPhoneのホーム画面、音楽・書籍・映画のランキング。テレビのチャンネルはその選択肢の少なさから、コンテンツ業界が垂涎する対象だった。その構造はそのあとのふたつも同じ。ただテレビのチャンネルは淘汰されない既得権になっていて最も影響力が強い。最後のランキングだけ性質が違う。選択肢が元々少ないのではなく、大量の選択肢を減らす装置としての役目を持っているから。
みんなが好きなものを自分も好きとは限らない。それがランキングの限界だけど、ランキングはそこに載っていないという情報も提供してくれる。でもなによりも、まず枠組みを提示してもらい、そのなかから選ぶということが出来る。ひとりの人間がある作品をレコメンドする、が選択肢を減らす装置ではないのは、選択肢をもともと提示出来ないからで、枠組みを提示出来る事にランキングの価値はあるのだ。
ありとあらゆるユーザーエクスペリエンスにおいて選択肢を減らす事は価値がある。選択肢が多すぎると選択されない。Android Marketが機能せず、App Storeがちゃんと機能しているのはその違いだろう。*1

*1:今のAndroid Marketは知らないけど、昔はアプリを検索でしか探せなかった