アドベントカレンダー、悪くない

ゆとベントカレンダー⑦

前日に引き続きMPの削られる会議だった。自分がいる意味が感じられなくなりつつあり、あえての介入ももうしなくて良いかという諦めがある。リモートだからこそ、意味の無さが際立つ会議だった。

買った急須の話をしようと思っていたんだけど、ちょっと後に回す。

アドベントカレンダーの良いところに、プロジェクトの決着を待たなくて良いことがある。なんとなく記事にするにはキリが良いところにしたくて、ペンディングになっているネタが実は沢山ある。なにか書きたいと思ってもそれらのネタが邪魔をしていて、相互に悪影響がある状態になっている。別に個人でやっているブログなのにね。

既に書いた記事でも、やはり結論に変化があると本当は書き直したい。でも、まぁ一回出してしまったらそれはそれで過去の自分の結論だし、安全な範囲なら別に修正はいらないかな。今を切り取る断面を提供する感覚に変更したいね。

急須を買いに常滑へ5 帰還編

ゆとベントカレンダー⑥

久しぶりにガッツリとマネジメント仕事。結局また繰り返しか……という徒労感で疲れた。が、Miroという最近アツい無限クラウドホワイトボードアプリの手応えがさらに増したのは怪我の功名。飲食店の営業時間が戻っていて遅い晩御飯を支えてくれるのが骨身に染みる。エッセンシャルワーカーの待遇が良くなる政策を取る政治家を推すのみである。

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方向感覚は悪くないし、地図は手元にあるし、地図は読める方という自信が良くなかった。迷ったのだ。やきもの散歩道の歩いてないところを通って帰ろうという欲も良くなかった。言い訳すると碁盤の目ではないし、坂だらけで道がどう繋がっているか分かりにくいし、見通しも悪くて数歩踏み出すともう自分の居場所が分からなくなるのがやきもの散歩道だ。とはいえ、金山駅17時の約束が待つ身としては1627常滑発新可児行きの準急に乗らなくてはいけないのだ。

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普通の日本の町並みと散歩道の対比が面白いが、夕日が時間の不安を煽っていた

不安はあるがとにかく駅の方向は分かるので、そちらに向かっていたらいつのまにか見るつもりもなかった巨大招き猫、とこにゃんの橋に来ていた。ここは陸橋で、陸橋付近にある下に降りる道は駅と逆方向。駅方向にも道あるはずとGoogleマップを見るとない……。まぁ陸橋の道の先に行けばあるだろと思って歩みだしたのだが、なかなか駅に降りる道は見当たらない。見晴らしの良い崖沿いの道で、駅は見えるけど行けない笑ってしまうような状況に。最終的にGoogleマップには道として載っていなかった細い道を通って崖を下り、なんとか電車に間に合った。

今調べてみると、ネットに上がっている散歩道マップにはGoogleマップに載っていなかった道が載っていた。一方で現地で配っている散歩道マップは結構仕様が違って、載せている範囲が違うし、お店もない。多分お店の入れ替わりもあるから現地仕様と分けていると思うのだが、出来たら統一してほしいところだ。

慌ただしいが本当に楽しいショートトリップだった。こんなに買って大満足の急須に出会えるとは思ってなかった。言うても急須でしょと舐めてかかったら産地の本気で殴られた感覚。

振り返ると時間がとにかく足りない。散歩道ですら回れなかったが、それに加えて、陶磁器会館、常滑焼急須館、ミュージアム(INAXライブミュージアム、とこなめ陶の森の資料館と陶芸研究所)、陶器の卸売市場であるセラモール、全部行きたかった……。しかしセラモールには自家用車なしでどうやって向かえばいいのか……。次回も観光案内所に聞いてみよう。たぶん教えてくれるだろう。

そう、今回の常滑、人が優しいのと距離感が良いのが印象的だった。まぁ尾張生まれが知多に来たから水が合うだけよ*1って言われたらそうかもしれんのだが、お店が工房併設だったりするので、いらっしゃいぐらいは言われるけど、大体は放置されている感じ。東京のお店だともっと早いタイミングで声かけられたりする。それがちょっとしんどくて洒落た店を回ると気疲れするのだが、常滑にはあんまりないのでサクサクと行けたのは本当にありがたかった。いざ話してみても店員と客の会話というよりも、そもそも客も全然いないし暇だから世間話ついでに話すわみたいな感じで、売ろうとする感が全然なくて良かったね。地域の特徴というよりも産地の特徴かもしれんけどね。

名古屋から30分で着くし、駅至近に歩いて楽しい観光ルートがあって、めちゃくちゃオシャレなカフェも、インスタ映えする風景もあって、買う楽しみもたっぷりあって、一日遊べるのに人がいないのが不思議な街だった。当時、愛知県体育館でやきものワールドなる催事をやってたからそちらに人取られていたのかもしれんし、瀬戸と美濃というライバルが至近にあるし、日曜だとランチぐらいまでの方が人がいるのかもしれんけども。

次いつ行こうかなと思ってて、次回はライバルたちとまとめて、美濃、瀬戸、常滑、萬古の焼き物産地周りまくりツアーとかしたくもあるし、知多半島泊まってたっぷりとかもやってみたいね。

*1:愛知用水でな!ってことではない。ところで愛知用水の開通で知多半島の永年の課題であった水不足が解決した話は世銀の融資も含めて世界史、戦後復興史、産業史としても面白いのでオススメ

急須を買いに常滑へ4 出会い編

ゆとベントカレンダー⑤

昨日のバドミントンで体が破壊されており、ガーミンの記録を見ると、ワクチン打った次の日みたいなデータがでた。引き続き昨日の話。生徒時代にスポーツをやっていたころよりも、身体感覚の解像度が上がっていた。ラケットにシャトルが当たらない時の修正とか、指摘されたことへ質問して指摘を具体化して理解するとか、できたのだ。正解はここからあそこまでの範囲にあるはずなので、両極端から試してみるか、とか仕事で身につけたメソッドもまた役に立って、昔よりスポーツの上達早くなった。まぁ、生徒時代と違って怒られないしね。

昨日の分と今日はラップトップで書いてるので、たくさん書ける。

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道のつきあたりにあるお店って、様子を見て帰ろうとすると、誰も見てなくてもなんとなく気まずいから、少し気が引かないだろうか?僕は引く。そんなお店が、急須と出会ったお店だった。つきあたりにあるだけではなく、軒先に看板がひとつあるだけで、店舗名も入っていいのか不安になるし、木の格子がはまったガラス戸越しにしか中が見えない店だった。たぶん格子越しにほんの少し見える店内の展示の様子に惹かれて入ったんだと思う。入ってみると、3階建ての窯場跡を店舗に転用した広々としたお店で、展示のセンスも種類も抜群。特に照明が常滑随一良かった。窯場の機械・器具と思しきものもそのままインテリアに転用しているのもまた良くて……。

1,2階が店舗で、1階には急須以外や少し常滑焼の主流とは外れた急須が置かれていてので、オシャな方向なのかなーと思ってたら、お店の人に話しかけられて急須を探しに来たなら2階にもありますよとのことで2階へ。2階はすごかった。作家別に急須を中心に作品を並べてあるのだが、並べることで現在の常滑焼の状況とそれぞれの作家の個性が見事に浮き彫りになってたわけ。決して量が多いわけではない。しかし、それらの作品群の向こうにあるジャンルがしっかり見える素晴らしいキュレーションだった。

都会のこういったお店だと店頭に出す種類を絞ってしまって、もっとお店全体のブランディングにしてしまう。ジャンル押しはせいぜい季節展示の台や棚だろう。物自体は当地の1流のものを持ってきてるのは分かるのだけどね。やはりこれが産地パワーか。

下調べやネットで検索した結果、常滑焼の急須というのは伝統的な形があって、表面が滑らかで、そこに和柄が入ってたりするというイメージを持っていた。このお店に来て、表面のテクスチャーの部分がぜんぜん違う、というか作家物はむしろそこで勝負している人の方が多いことを知った。それに加えて伝統的な形に見えて形状も細かく違う。急須というのはかなり複雑な形状なので、僅かな違いが大きな印象の違いをもたらす。形状と表面のテクスチャーが相まってひとつの急須を構成しているのだが、それらを比べる楽しみといったらね、本当に良かったね。お店の人がちょくちょく表面をどう加工しているのか、どんな技法があるのか教えてくれたのも本当にね、良かったね。

初見でこれいいなと思った作家さんのやつを脳にメモしつつ、全体を見た。その後に、いいなと思った作家さんのものを本格的に手に取ったり蓋を開け締めしたり試してみたら*1、お店の人が水入れて試してみますか?と聞かれて試させてもらった。ま、悪くないかなと思ってたのだが、こっちの繊細な作りの作家さんのも試してと言われた。うちの娘も使ってるけど、ガサツなのにこれを扱う時は所作が丁寧になるんですよって言われて、どんなセールストークだ?!となりながら実際に試したらとても軽くて手に馴染んでこちらの方が使い心地が良い……!となった。そこからウンウン唸って、見た目的には最初のヤツのほうがきになるけど圧倒的に使い心地が違う………!繊細と言っても壊れそうな感じはしないな、となり、勧められた作家さんのものにするぞ!と決めたらちょうどほぼ同じ形状で2つあったので、さらに唸ってエイヤ!と決断。ようやくお買い上げである。

包んでもらっている時に、四方山話で銀座にも急須をたくさん取り扱っているお店あるらしいことを教えてもらう。銀座、もっと探らねば。

このお店、散歩道の中間地点あたりである。当初急須を買う予定であった陶磁器会館や急須館は終点である。通常常滑でお店がやっているのは17時くらいまで、早いお店だと16時。そして、もう16時になろうとしていた上に金山駅に17時という約束があった。終点付近はもう無理だなとあきらめをつけつつ、散歩道沿いのお店をサクサク見ていく。

西日が差し込んでくる坂の上のお店のテラスで手をかざして陶器を見ていたら、どうぞお店の中で見ていってください、ここ本当に夕方は太陽がすごくてって言われて、常滑の人ってみんな親切やねと思ったりした。サッと入ったお店で1個妙に気になった湯呑なのかぐい呑なのか分からないのを、なんの会話もなくサッと買った。モダンで東京のセレクトショップに置いてあるやろなというお皿もありつつ、窯がやっているお店なのでなんとなく生活感というか親しみやすさのあるお店で、それも良かった。そのお店の先か後ぐらいに、実際にモダンな東京のライフスタイルセレクトショップみたいなお店があったのだが、これが急須を買った店の関係者がやっているお店で、袋で気づかれて店舗の奥も見ていってと言われてしまった。ここでしまったと書いたのは時間に焦っていたから笑 こちらのお店、雑貨もあるのだけど、やはり面白いのは急須だった。特に奥にあったもの。血なんでしょうかね。もっとじっくり見たかったな。

登窯広場から先の方がお店が多いのだが、どうもこれは駐車場が登窯広場の向こうにあるからで、そりゃ確かにこの辺の人は車で来るからお店出すのも駐車場側がいいよね……ということに今更気づいた。東海地方の法則である。

次回、最終回。
kuma.hateblo.jp

*1:常滑のお店全般、結構高い作家物でもさわるなとは書かれてないし、触ってて怒られなかった。まぁ怒られるお店もあるかもですが

急須を買いに常滑へ3 やきもの散歩道編

ゆとベントカレンダー④

誘われて社会人サークルのバドミントンに行った。昔はこーいう知り合い全然いないのかなり緊張してたな〜と思いながら参加。仕事で積んだ社交スキルで、もうなんも緊張しない自分がメタ的に分かって内心笑った。

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やきもの散歩道に入った途端、駅にはいなかった人が現れて観光客らしき人がチラホラ出現。かなりどこから現れた???感あるが、東海地方らしい駐車場からの方が実質正規ルートというやつである。現れたと言ってもチラホラで、散歩道にある焼き物が置いてあるお店には大体デフォルトで人が客、店員ともにいなくて、のんびりと見て回れる。

散歩道、2にも書いたが雰囲気が面白くて散策したくなるエリアになっているのだが、その中でも飛び抜けて雰囲気のある隠れ家カフェがあった。

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お店の名はnuu。時間があればカフェ利用したかった……

このカフェ、入り口が2つあって、写真はそのどちらも撮った。素敵な道を建築によってさらに魅力を追加する作りで、アレグザンダーが提唱した建築のパターンランゲージの話を思い出す作りだ。

カフェの写真を撮って道を進むと坂に差し掛かる。土管坂である。地域の名主の館である廻船問屋瀧田家とセットでやきもの散歩道の中心を構成している。館の方も拝観して江戸時代の建物?良いわねぇと展示物と共にざっくり見て出る。まだ、これ!という急須を見つけていないので内心焦りつつ、しかしまだ時間は大丈夫だろうとそこそこじっくり展示を見てしまった。だって日本史の教科書に出てくる菱垣廻船とか樽廻船の廻船だよ?!高校生の頃にこればもっと日本史の点数上がってた気がする。まぁ好きだから学年トップを争ってたんですけど。

散歩道、実質山なのでとにかく坂が多い。登り切ると見晴らしの良い無料休憩所がある。座るのはタダという社会の間で暗黙に共有されたルールが存在*1する。東海地方の良いところである。

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これは土管坂ではない坂

土管坂から下っていくと登窯広場。ここの周辺は近代の常滑焼の歴史がそのまま残っている。かつて坂の土管を作った巨大な登窯を中心に構成されている。ここの展示工房館も小規模だがまた面白い。外にあるデカい瓷は戦時中に海軍から発注されたもの。このまま狸の顔を上に描きたい。

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展示工房館内部の説明もじっくり読みたかったが、そろそろ時間に焦りがあったので、撮影して次へ向かった
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登窯広場の無数のタイルで構成された壁。焼き物の街ですなぁというオブジェだ

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登窯自体も面白いので一見の価値あり

登窯広場の周辺から一気に焼き物を売るお店が増える。ここでようやく急須に出会うのだが、それは次回に回します。

↓続き
kuma.hateblo.jp

*1:都市部、リニューアルされた名古屋市のテレビ塔を囲む久屋大通公園でも、座りたい人全員分を賄えそうな量のベンチが設置されている