ゆとゆとは今日も元気ですと言いたい。の前身の「ボーダーの上」時代の発掘エントリ。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/01/12
- メディア: 文庫
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筒井康隆の富豪刑事。ドラマを見て、原作に興味を持った組です。原作、もしくは原作者ファンに毛嫌いされるタイプですな。
さて、中身は大富豪を父に持つ刑事が、毎回起こる殺人事件の捜査に、大富豪的な発想の捜査方法を提案し、解決するってのが筋。四編入ってるよん。筒井康隆にとって、初めてのミステリーのせいか、ところどころメタが入っていて、突然作中の人物が読者に語りかけてきたり、著者が話したりと、なかなか楽しいです。自信ない的な発言がちらちらとあって、それが少し鬱陶しいかな。
感想を書こうと思ったんだけれど、押さえるところは押さえてあると言う、最後の解説の一言でオッケーですね。あ、あと細部が丁寧と言うのも解説の方がおっしゃってました。その通り。それ+主人公が純情なところとか、作中の絵とかが昭和を感じさせる古さ。あ、でも一番楽しいのは、主人公の父、喜久右衛門の、親バカオーバーリアクションかな。
面白いけど、引き込まれたかと言うとちょっと...。むしろ、本そのものの面白さより、ドラマがいかに面白かったかがわかったかな。そしてドラマが、全く原作を無視せず、原作を発展させたというか、原作を超えているということがわかりやした。
原作を無視してないと言うなら、ドラマだと、主人公が女になってたじゃんと思うけど、そこは大丈夫。ドラマで主人公を演じた、深田恭子は、喜久右衛門に対して、おじいさまって言ってるから、原作の主人公の娘ってことになってればオッケーなのです。
そんなことはどうでもいいね。次に、何故原作を超えてるかって言ったら、原作ではイマイチギャグになりきれなかったのを、ギャグに仕立てているところとか、主人公を天然にして、深田恭子をキャスティングにして、現代でも違和感無くしたり、金持ちの演出を、原作以上に豪華にしたり(原作では金を持っている的表現は、意外に簡素)というところかな。だから全くの正当進化。
この富豪刑事ってのは、元々テレビ向けに作ったと言われても全く問題ないぐらい、テレビの特性にあったストーリーというか、設定。道理で面白かったわけだね。見たい人はDVDでどーぞって言っても、今ならYoutubeで済む?金持ちぶりを楽しみたいならやっぱりDVDでハイビジョンでどーぞ。