リストランテ・パラディーゾ

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

リストランテ・パラディーゾ (f×COMICS)

大好きな漫画家のオノナツメさんなんだけど、全く感想アップしてねぇなと思ったから今から書くよ。


働いている人が全員老眼鏡紳士というレストランが舞台。ストーリーは二の次ってワケでもないけど、この作品はやっぱり雰囲気と紳士を楽しむ作品なんだと思われます。でも僕の一番好きなキャラは紳士じゃなくて、主人公の女の子ニコレッタ。


さて、じゃあまぁニッチな楽しみ方の方、ストーリーをちょっと紹介。主人公のニコレッタは21になって、自分を捨てた母親(正確には祖父母に預けた)に会いにローマに来て、母親の結婚相手がオーナーのレストランで働くというのがあらすじ。結構重い感じがするね。でも、重すぎる事無くするーっと流れてく。同じオノナツメ作品の「not simple」よりも軽いです。でも人間関係の機微がしっかり描かれているのはやはりオノナツメ


さて、主人公のニコレッタ。読者の人気は圧倒的に紳士達に劣るんだけど、この作品の中でもっとも前向きでけなげなのがイイです。この子がたまに「ムカつく」とかそういう負の言葉を母親に対して使う時、全く似合ってないのが頑張ってるというか、なんとかそういう感情を持とうとしているという感じがしてちょっと切ない。


オノナツメは暖かい人間関係を描くのがとても上手くて、レストランで働く紳士達がニコレッタのことを見守っているのがよくわかるんだよね。んで、全然わざとらしくない。感動させようとしないし、泣かせようとしない。感動させようとするなら感情の振り幅を大きくすればいいんだろうけど、それをしない。つかず離れず、見守ってる関係とか、職業上での信頼関係*1とか、一見薄い関係を描く。「愛してる」とか「好き」って言わなくてもいいんじゃんか。


以下、ネタバレ
ニコレッタの母親が自分の誕生日パーティで、最後のバースデーケーキをニコレッタが作ったと言われて、ろうそくを消す前に、自分の娘だと言う瞬間が一番好き。そしてそのあとのニコレッタがカメリオーレ長*2のクラウディオに頭を撫でられているシーンまでの一連の流れが印象的で、紳士萌えマンガなだけじゃないんだよ。と言いたいの。

*1:特にさらい屋一葉なんかはそう

*2:カメリオーレはイタリア語でウェイターね