旅行のお友達

基本的におひとりさまなので、旅もまたひとりでします。お友達は本だけです。さびしい人生です。
今回のイタリア旅行のお友達はこの三冊。全部早川ですね。どんだけ好きなんだ。SF……?みたいなセレクト。

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

わたしを離さないで

わたしを離さないで

ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)

ペルディード・ストリート・ステーション (プラチナ・ファンタジイ)

天体の回転について

文庫になったら買おうと決めていたんだけど、ひとり旅ってどうせ暇だから買っちゃえっと買って真っ先に読んだのがこれ。
飛行機の中でかなり読み進めて、最後は一気に宿で読んだ。短編集で、あ、このグロ描写は小林泰三だなというところもあるけど、Jコレクションなのでさすがに全編SFです。楽しいです。
一番好きなのは「300万」という短編。スペースオペラに出てくるような、宇宙船を操る技術を持ちながら、なぜか未開の原始人のような戦闘をする種族の戦闘様式が、騎士道的精神に基づくものであるというお話。地球を侵略しに来た戦闘種族に、元寇の時の武士を思わせる滑稽さが出てて面白い。

わたしを離さないで

友達に薦められてたので購入。
主人公と準主人公の女の子との駆け引きとグループのなかの人間関係がこれでもかとネチネチ描かれていてふわぁとなりました。思春期独特の人間関係に対する敏感さが、痛気持ちいい。たぶん、この小説は決して直接的には語られない世界のシステムが重要なんですが、SF好きとしてはなぜそのシステムの必然性が?とか思ってしまってむしろ入り込めなさになってしまったな。

ペルディードストリートステーション

読んだ!これを読み切ったからこのエントリが書けるようになったのであります。とても、とても長かった。
SFが読みたい!で1位になってて、そして旅の中で読み切れない長ーいやつを探してたので、ちょうどよいと思って購入。結論を言えばこんなのSFじゃない!なのですけど、まぁそれは最初から分かってた事で、ただの幻想小説でした。作家がイギリス出身で舞台がロンドンを下敷きにした都市なので、大人向けのハリーポッターと言いたい。SFが読みたい!で選ぶなよこんなのと思わんでも無い。
スチームパンク幻想小説とファンタジーと政治的な小説のごった煮なんだけど、そのどれもが中途半端で最後の方は結構苦行だった。どの方面で切り取っても魅力があまり…。もう少し緻密な設定が欲しいんだよね、どのギミック、描写に対しても。なんでそれがそう存在しているのかに対する説明があまりされないのがうーむ。