倫理

水からの伝言は科学に倫理の範囲を求めているという文章を拾った。その文章を読んだとき、倫理とか道徳が何なのか理解したと思う。僕は義務教育過程における「道徳」のイメージに捕らわれ過ぎていた。要するに情けはひとのためならずとかそういうお行儀の良い発想としてしか考えていなかった。よくよく考えてみると、社会的な動物である人間は倫理とか道徳ってのをそれぞれ個別に持っている。ポイ捨てしてはいけない、してもいいとか赤信号は絶対渡っちゃダメ、別にいいじゃんとか。それらを摺り合わせたものとして出てくるのが「道徳」で、社会に属するみんなが持つべきもの。
義務教育の「道徳」はどうしても良識になりがちなのは構造的に仕方ない。だからとても良識に従って生きている気がしない自分としてはどーでもいいと思っていた。でも夜回り先生の書く話には割と毎回泣かされていた。夜回り先生も倫理を説く。倫理しか説かないのだけど、普通の先生とは違う。優しいだけの人とも違う。自分の倫理をぶつけてくるんだって気付いた。今ある「道徳」や過去にあったとかいう「道徳」に頼らず、自分が善と思う倫理をぶつけるひとだと思う。