オープンソースウェポン

http://blog.makezine.com/archive/2011/06/arduino-goes-to-war.html
最近、どこぞの誰かがArduinoを使って兵器を作ったと話題になった。照準を合わせる機械として作られた模様。このニュースが出て以降、軍事利用に対する反発の声とか疑問の声がWebのあちこちで上がっていた。Arduinoというのはイタリアで作られたハードウェアで、マイコンの開発をハードウェアの専門家でなくても手軽に安価で可能にすることが出来る開発環境とマイコンボードのこと。その設計図とソースコードは公開されていて、オープンソースハードウェアの象徴のような存在になっている。
このニュースが話題になったのは、オープンソースの成果がまさに目に見える形(ハードウェアなので)で戦争という舞台に現れる可能性を示したからだと思う。オープンソースウェポンの可能性。テロリストがArduinoを使ってRPGの弾頭を手作りで追尾する弾頭に変えて米軍のヘリを撃墜する。そんな未来が近いかもしれないと感じたひとは多いと思う。しかも、この流れは止めようも無く、テロリストは使える物は使う。現実に戦争でオープンソースの成果が現れる日は近いだろうし、もう既に使われているかもしれない。
この現象、今注目を集めているファブラボが兵器を生み出す可能性を想起させる。ファブラボを始めたニール・ガーシェンフェルドはあまりArduinoが好きではないようだけど、それはともかくとして、ファブラボというのは安価になった工作機械を集めた研究室のことであり、その研究室を一般に開放し個人がそれらの工作機械を使い、自分自身が作りたいものを作ることを推奨する運動でもある。発展途上国にも既に設置されている。テロリストにファブラボが占拠され、兵器自体や兵器を作る機械を生み出すことになったら。いや、むしろ住民が民族浄化に走り兵器を作り出してしまったら、それが最大の悲劇だろう。
僕はArduinoやファブラボの「個人が作る時代」というコンセプトに魅力を感じて来たし、実際にArduinoというのはとても素晴らしいデバイスでもあるのだけど、一方でその概念はテロリストもまたなんでも作れるようになるのではと疑問を持っていた。今回のニュースが示す通り、割と近未来になってしまうみたいだ。ものをつくることが手軽になることは全く悪いことではない。ただ、それが人を殺すことに繋がることをどう考えてればいいのかよく分からない。