『勝間式 食事ハック』感想

この本、まったくオススメ出来ないです。ブログのほうがマシだし、半分は牽強付会な持論で埋め尽くされてる上に、残り半分もあまり良いメソッドやハックが載っているわけでもないので。

最初の文が「もう食欲とデブへの恐れとの戦いはやめましょう(P.2)」なのは最高なんだけど。はい、以下箇条書きで。

勝間式 食事ハック

勝間式 食事ハック

全体

  • 前作『勝間式 超ロジカル家事*1の食事部分をアップデートして一冊の本に
    • 前半の理論パートと後半の実践パートに別れている
    • 全体として健康のためにヴィーガンを勧めている食事と健康の本
    • 前作よりも退化している点がある
      • 野菜の理想的な蒸し温度についての表や具体的なオススメ野菜リストが今作では消えている

主張が牽強付会ぎみ

  • 前作はそれが小気味よさだったのだけど、今作に関しては半分を占める理論パートでそれをやられるのでダメ
  • エビデンスがある話とない話を混ぜるので本当にダメ
  • 食事と健康における理論的な話については『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』 の方が良い
    • 『世界一』の方で鶏肉なら健康に影響ないし魚はむしろ健康にいいよ*2って言われてるのを本作では無視している
      • 無視して肉の代わりに豆を提案しているが、豆は絶対扱いづらい
        • 豆は1晩水につけて1時間蒸すとのことで、スペースも食う
          • 鶏肉冷蔵と冷凍でよくない???
        • ゼロベース思考*3出来てないのは氏のほうじゃんってなる

本の理論と実践の分け方のダメさ

  • 理論の部分がオレ理論なのでダメなのは上記の通りだが、実践の方もあまり具体的な話じゃない
    • この本の実践を理論編にし、具体的なレシピを実践編だと良かった
  • また、実践はすでに自分のやり方で最適化している人にとってはなんの参考にもならない

もっと使える本に出来たのでは?感

  • これは前作に引き続き感じた
    • 重要な表なんかは冒頭のページにまとめていれときゃいいじゃん感あり
      • ex. 理想的な塩分濃度と各調味料の塩分から計算した目安量の表
      • ex. 素材ごとの理想的な蒸し温度・時間の表

自分が勝間和代の食事本に求めていたいもの

  • 食事を作る効率を改善するハック
    • ブログにほぼ載っているし、普通の家庭には合わないものが多い
  • ホットクックを使った具体的なレシピ OR 良い素材の組み合わせ方
    • 経験上、野菜だけで作ると合う合わないの差が激しい
      • この野菜の組み合わせだと合うよ!というノウハウ共有してほしかった
    • 一応ホットクックの本質は無水鍋だから無水鍋レシピを見ろとは本にもブログにも書いてある
      • レシピ欲しいならそっち買えってことだなって思えてきた

おわりに

と言う感じで全く勧められないです。特にうわーってなる理論編が半分あるところ*4と、新規に参考になるハックがないところ、本にまとまることで生まれる価値(ハックをまとめてセオリーが見える的なこと)がないどころが減少しているところです。

はてなブログの方でファンになって著作もこれで2冊買ったところなので非常に残念です。

さて、本文中にも書いたのだけど、家事をゼロベースで考える本としての『勝間式 超ロジカル家事』、食事と健康に関する決定版としての『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』はそれぞれオススメです。

勝間式 超ロジカル家事

勝間式 超ロジカル家事

また勝間氏が本書の中でも勧めている水島シェフのロジカルクッキング本も良いです。特に食材の切り方はためになりました。水島シェフは本をたくさん出してるんですが、今入手出来るもののなかだと『究極の定番レシピ』が全編カラー写真、本自体が大きく見やすい、安いの三拍子が揃っているのでオススメです。

水島弘史 究極の定番レシピ (TJMOOK)

水島弘史 究極の定番レシピ (TJMOOK)

*1:比較のために読み直したがこちらは家事をゼロベースで捉える稀有な本としてオススメ

*2:本書では一応それらが植物性蛋白質よりも少しだけリスクがあるという研究結果を引用しているが、まぁ『世界一』のほうが信頼出来るし、引用されているデータを見てもほんの少しリスクが大きいというもの

*3:本書でよく言及される概念

*4:アマゾンで絶賛レビューばかりなの見るとがっかりします