オシャレがなんなのか、完全に理解した付け加えると、ワイドパンツなんかはやはり以前の流行とは少し異なるシルエットになってて螺旋階段的なトレンドの展開してる。あと生地の技術的発展による不可逆な進化(ストレッチ生地とか)もあるわよ
2023/02/07 00:20
ブコメが人気になったので調子に乗って記事を書く。
技術と文化の変化によるファッションの変遷についてまとめる。流行って別にハイブランドから下に流れていくばかりじゃないんよ。*1
技術的発展
「織り」のストレッチ
ストレッチする服というのは、古くはたぶんニットの発明に遡る。一般に服というのは伸びない「織り」と、伸びる「編み」の2つの製法があり、前者はシャツやスーツの生地であり、後者はニットである。このうち「編み」は基本カジュアルになってしまうのだが、近年は「織り」に伸びる糸を入れることでフォーマルな「織り」にストレッチの機能を取り入れることに成功し、ほとんど全ての服がストレッチすることになった。
ちなみに「織り」に伸びる糸はポリウレタンを使う事が多く、あまり耐久性はない。基本数年で駄目になると言われる。つまり実はここは文化的な変化で、服の耐久性は重視されなくなって数年で駄目になる前提になったからこそ、その程度で劣化するポリウレタンがガンガン使われるようになったと言えそう。
ここ10年でストレッチしない服は本当に少なくなったと思う。スーツでさえもストレッチさせたアクティブスーツというやつが流行ってるね。実は「織り」のストレッチではなくニットにしているやつもあるが。
「織り」でのストレッチと言えば、みんな大好き「黒スキニー」。Diorの仕掛けた当時のスキニーはストレッチ素材じゃなかったから足が曲がらなかった。個人的にはMofMのスキニーはシルエットが綺麗だが履くのが辛かった……。オシャレは我慢の時代だったのだ。
ヒートテックやインナーダウンによる薄着の流行
発熱下着の登場とインナーダウンは、冬の薄着化を進行させることになった。ユニクロはアウトドア系のギアが持つ機能を大衆化して提案するのが非常にうまく、ユニクロ発展の代名詞たるフリースもまさにその手法だ。しかしフリースはそれ自体の流行だが、発熱下着とインナーダウンは秋冬の薄着化を進行させたという意味でより大きなトレンドと言える。
文化的変化
ウエストゴムのデフォルト化
これは「織り」のストレッチの流れからだと思うのだが、ウエストゴム、めっちゃ普及しましたね。カジュアルはほぼ100%になり、フォーマルなスラックスもかなりがウエストゴム。ウエストゴムにしてもベルトをすれば隠れるんだったら、ウエストゴムの方が楽だよね、という開き直りを感じるレベル。
服って我慢して着るものでもないな、という文化的変化を感じるのがウエストゴムのデフォルト化。ここ20年でそこは大きく変化したと思う。
ビジネスバッグのリュック化
ビジネスバッグはかつて手に持つしかなかった。これはほんの20年前のこと。今ではショルダーやリュックになるストラップを持たないバッグのほうが珍しいのでは?これについては「ビジネスシーンでリュックはマナー違反?」みたいな記事がPV狙いで量産されていたので覚えている人も多いだろう。
大昔、通勤電車では座った人が立っている人のかばんを膝上に載せていたというカルチャーもあったと聞くのだが、そういうのが無くなり、一方で網棚に載せるのも個人情報リスクというものが時代的に発生し、結果としてビジネスリュックの発明が促された、という流れを感じる。あとはPCを持ち運ぶのも当たり前になったので重くなったのもあるだろうね。
フォーマルなリュックという存在しなかったカテゴリが発生したと考えるのも面白い。
おわりに
ウエストゴム化って6年前にほぼデフォルトになりそうねってTwitterでつぶやいたらそうなった。
今年か来年あたりウエストゴムのスーツが出て、最初は批判を浴びるんだけど数年後には普及、ベルトを持たない若者が話題になる、という予言をしとこう
— ゆとくま (@qt_fb) March 24, 2017
なので、我慢せずオシャレ路線はトレンドよりも大きな変化として流れていくと思う。予想するならホールガーメントによる無縫製とかタグのプリント化らへんだろうか。地味だねぇ……笑
*1:純粋にファッションとしてのトレンドにおいても最近のハイブランドはストリートブランドの流行を取り入れているばっかと批判されてたりするし